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フォトレジストの歴史

半導体の歴史は、微細加工の歴史とも言い換えることができ、その発展を支えている技術の一つがフォトリソグラフィ技術です。フォトリソグラフィは基板上に塗布されたフォトレジスト(以下、レジスト)にフォトマスクを介して光を照射し、電子回路のパターンを基板上に製膜されたレジストに転写することで像を得られます。レジストの現像処理後、基板上に転写されたレジストパターンをその後の基板加工プロセスに利用しています。
レジストは現像後に光があたった部分(露光部)がパターンとして残るネガ型フォトレジストと、光があたらなかった部分(未露光部)がパターンとして残るポジ型フォトレジストの2種類に分けられます。
半導体の発展とともに、さまざまな露光波長を持つ露光技術が開発され、またレジストに要求される特性も多種多様になっていきました。その結果、何種類ものレジストが開発され、現在の半導体産業を支えています。

図1.半導体用フォトレジスト開発の歴史

1960年代〜

ゴム系ネガ型レジストの誕生

半導体の生産が開始され、パターン形成にはコンタクト露光装置が用いられていました。この装置ではマスクとレジストが密着するコンタクト露光を行うため、マスクの解像度=レジストの解像度となってしまうこと、そして、基板との密着性を優先させたゴム系レジストであることが、微細化の障壁となっていました。

1970年代〜

ノボラック‐NQD(ナフトキノンジアジド)レジストへの変移
(g-line 436nm i-line 365nm)

フォトリソグラフィの微細化の追求によって、フォトマスクとレジスト表面とを非接触の状態で露光する投影露光方式が開始され、コンタクト露光には適さなかったノボラック樹脂をフォトレジストに使用できるようになりました。また縮小露光が行えるようになったため、マスクより細かいパターンのリソグラフィが可能となりました。微細化を目指した改良は進められましたが、ノボラック樹脂のレジストでは露光波長が解像度の限界でした。

図2.NQDの光反応

1990年代〜

化学増幅型レジストの開発(KrF-line 248nm)

I線リソグラフィからさらに高解像度力を実現するため、露光波長の短波長化が進められ、KrFエキシマレーザーを光源とするリソグラフィ技術が開発されていきました。この波長は今までのノボラック樹脂に吸収されてしまうため使用できず、保護基によりその水酸基を保護したポリヒドロキシスチレン樹脂へと変更されました。露光エネルギーにより光酸発生剤(PAG)から発生した酸(H)が保護基を攻撃し脱保護を起こした結果、フェノール性水酸基が発生し、アルカリ現像液への溶解が可能になります。また、露光装置の改良等により、露光波長以下のパターニングが可能となりました。

図3.KrFポジレジストの反応例

2000年代〜

ArFエキシマレーザーへの波長変移

KrF露光装置の後継として、ArFエキシマレーザー(193nm)に露光波長が変更されました。KrFレジストに用いられていたベンゼン骨格に二重結合をもつPHS樹脂は193nmの波長を吸収してしまうため、アクリル系などの樹脂に改良されていきました。

ArF Immersion

対物レンズと観察対象物の間に高屈折率の媒体を入れると解像性能が良くなることは顕微鏡技術でも知られており、その応用が液浸露光技術です。屈折率1.0の空気媒体の代わりに屈折率1.44の水を媒体として用いると、193nmの波長を134nmとみなすことができ、より微細化が可能になりました。

次世代 EUVレジストへ

ArF後の次世代の露光技術としてEUV13.5nmによる縮小投影露光が有力と言われています。しかし、光源のエネルギー出力量、露光波長に合わせたレジスト開発、より微細なフォトマスクの製造技術等、量産プロセスへの採用に向けて課題は多く残されています。

電子産業の歴史上、フォトレジストは工業製品として高性能、高品質かつ安価であることが求められ、電子デバイスの高性能化やその時代、周辺技術に合わせたレジストの開発が行われてきました。最先端のフォトリソグラフィによる加工の寸法は10nm以下となり、さらなる微細加工を目指すには課題が多く困難なものになっています。しかし、新しい露光技術への挑戦、新しいレジスト材料の検討も進められ、私たちTOKもフォトレジストのリーディングカンパニーとして日々挑戦を続けています。

図4.レジスト微細化と半導体高機能化の歴史

参考:最新フォトレジスト材料開発とプロセス最適化技術 ㈱シーエムシー出版
CSRレポート 2017 東京応化工業㈱