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22歳・就職
大企業にも勝る技術力と
飾らない社風が決め手だった。大学では有機合成を研究していたのですが、化学反応で新たなモノを創り出せるというところに面白さを感じていました。一つの技術を極めていくような開発エンジニアの仕事も魅力的でしたが、より広い視野で技術力による価値創造の可能性を拓いていくような提案型の技術営業職を希望しました。いくつかの化学メーカーへ訪問した中でTOKを就職先に選んだ一番の理由は、フォトレジスト分野でナンバーワンという大企業にも勝る技術力と、役員面接を含む選考課程を通じて感じ取れた飾らない社風。就職活動をしていた2005年はちょうど液晶テレビの国内年間出荷台数がブラウン管を抜いた年で、中でもディスプレイ分野に興味があり、希望通りに液晶材料営業部への配属が決まったときは嬉しかったですね。
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22歳→28歳
「独り立ち」を扶けた
万全のサポート体制と「虎の巻」一般に言う技術営業職は専門知識に長け、販売担当の一般営業職のサポートを行いますが、TOKの営業職はその両方の機能を兼ねます。配属されると、新人でも顧客を担当することになりますが、はじめはフォトレジストについての知識など何もありません。しかしTOKの営業は、顧客企業の技術面を中心とする悩み・課題に着実に応えて信頼を勝ち取っていく仕事であり、「新人だから」という言い訳は効きません。ということで最初は大変不安に感じましたが、教育係の先輩方や関連部署の強力なバックアップをいただいたりという万全のサポート体制で「独り立ち」を後押ししていただきました。
専門部署への短期派遣や実地研修を含む社内研修等も充実していて助かりました。開発-製造-品質-流通、知財や安全規制など、研修を通じて営業活動における全体の流れを実地体験できたことは非常にためになり、研修後も1-2年はその際に作成したレポートが貴重な「虎の巻」になっていました(笑)。
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プロフェッショナルが集まる
部署横断型プロジェクトで成長そのような「成長期」を過ごす傍ら、私は、流通、事務、製造技術、事業部などが加わる部署横断型の「輸出費用削減プロジェクト」に技術営業部のメンバーとして参加していました。当時は海外売上比率の増加に伴う輸送コストの急増問題が手つかずになっていました。半導体業界はスピードが命なので、製品が採用されると直ぐに大量供給のオーダーが入ります。製品の多くは温度コントロールが必要で、梱包形態は、発泡スチールを詰めた段ボールに製品とドライアイスを入れる形になっていましたが、これを航空便で大量に送るとなると当然コストが嵩みます。「それでも、品質を保ったままお届けすることに重点が置かれていた」というのはまさに品質最優先のTOKらしい一面ですが、そこでプロジェクトチームでは梱包形態を一から見直し、フォワーダーや関連部署と連携し、幾度となく品質検証を行うことで大幅なコストダウンを実現することができました。
関連部署とお客様の協力があってこその成果でしたが、初めて本格的に何かにチャレンジしてやり遂げたことが嬉しかったと同時に、各部署のプロフェッショナルとの協働作業を通じて得がたい経験を積むことができたこと、このプロジェクトを通じて確かな成長を感じたことに充足感がありましたね。
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28歳→36歳・海外赴任
企業文化を伝え、明確なビジョンを示すことで
組織は「個」から「チーム」へ成長台湾東應化社(以後TTW)では、主にディスプレイ関連材料の営業活動のリーダーを任されました。日々お客様と打合せを行い、お客様が抱えている問題や課題に対して現在お使いいただいている製品の性能を最大化できるような提案や新たな材料の紹介、新規のお客様に対してアプローチするなどの市場開拓を行っていました。「顧客密着戦略」を意識し、常にお客様の声に耳を傾け、お客様が真に求めるものは何かを考え、求める特性/品質/スピードを満足できるよう全力で取り組みました。
このような「顧客密着戦略」を正しく機能させて行くには、この理念を理解し、ともに力を合わせて取り組む現地社員の協力なくして、成功はありません。それには創業以来TOKが培ってきた企業文化に対する理解を深めてもらう必要があり、まずはTOKの経営理念や方針をしっかりと伝えていくことが大事だと考えました。
赴任当初は台湾のディスプレイ関連材料のリーダーとして現地スタッフやお客様から注目されることにプレッシャーを感じました。TTWではその場での迅速な判断が求められ、それができなければ存在意義が疑われます。そこで「自分はこの事業をどのようにしていきたいのか」、そのために「今何をしなければならないのか」「組織をどう動かしていくのか」ということを常に考え、明確なビジョンを持ちあわせておくようにしました。明確なビジョンで納得できる説明を心がけたこと、それから権限委譲を進め、「自ら考え、行動して成果を出す」ことの楽しさを知ってもらうよう促したところ、TTWは「個」のスキルを高める一方で、「チーム」として機能し始め、パフォーマンスを向上させていきました。その結果、お客様の評価が高まることで現地社員の士気も高まり、そのことが今日のTTWの成長へと繋がっていきました。
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36歳・現在地
社長直属のタスクフォースで
「新たな価値創造」の種(シーズ)を探すTTWでは台湾全体が担当エリアとなったことから、顧客動向/要望の全体的なトレンドを意識することになり、さらに世界全体ではどうか、ということ考えるようになりました。新規提案についても既存のお客様だけ考えるのではなく、業界を調査し、新たなお客様へアプローチをしていくということも行うようになりました。TTWへの出向経験で視野が広がったのだと感じていますが、これが現在の「ストラテジック・アライアンス部」の仕事にも通じているように感じます。
「ストラテジック・アライアンス部」は、社長直属の組織で、半導体技術・産業の未来を予測し、フォアキャスティングだけでなくバックキャスティングの手法を用いて、TOKにおける新たな価値創造の可能性を追究するタスクフォースです。予測される技術革新に、TOKの現有技術力はどの程度対応していけるのか、足りない技術があるとすればそれは何か、どのように補えるのかといった当社製品に関する先行課題を解決するための方法提案や、新たなコア技術創出によりTOKの活動領域を拡大することを目標とした活動に力を入れています。具体的には社内外との広範な情報交換を通じて業界トレンドや技術動向を調査し、仮説を作成し、その具現化を目指します。既存技術をどの分野に応用できるのかを探索してきたこれまでの活動に加え、不足技術を社外との積極的な連携で取り入れて新たな価値を創造していくという新たな醍醐味がありますが、お客様・TOKの将来のために今なにをすべきかを常に考え、新たな事業を立ち上げていきます。
※掲載されている情報は、取材当時のものです。