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大学卒業・入社
半導体をはじめとする先端のエレクトロニクス産業に
化学で貢献できるということに魅力を感じた大学で専攻していた応用化学を活かすことができる企業について情報収集していく中で、リクルート系のサイトから知ったのがTOKでした。説明会に参加したり、調べたりしていくにつれて知った半導体と関わっているという将来性や、専攻していたことと取り扱っている材料が近いというところで魅力を感じました。
当時は入社後のキャリアプランとして家庭と仕事の両立が図れるような社内体制が整備されているかどうかということは重要なチェックポイントの一つでした。TOKについては、そうしたことも含めた福利厚生面が充実している印象を受けました。 -
2006年→2009年
物怖じせずに先輩社員とも率直な意見交換ができる
TOKのものづくり文化に染まる入社後は製造技術部への配属となり、相模事業所に勤務することとなりました。それからの約3年間は、社内の製造システムを理解し、製造をサポートする部門の戦力となるよう成長できる日々を送りました。製品や原材料の仕様・規格・管理値をシステムへ登録することや、管理値の根拠とするための評価実験といった社内業務に加えて、原材料から装置、システム開発などに関わるパートナー企業との様々なやり取りを経験して、短期間で多くを学ぶことができました。
製造技術部は業務内容が広く、連携する部門も多いのですが、時には方針の違いなどで意見がぶつかることもありました。例えば検査コストや量産化工程に関する話です。新たに開発される製品は、試作品が顧客で評価され、良い結果があがると、試作ラインで少量製造し、工場での量産化へというプロセスを経るのですが、その過程では開発部門や工場の製造技術部門とも密接に連携します。そうした中で、入社歴も浅い若手社員が、先輩社員を相手に、懸念事項や疑問点などで自由闊達にやり取りができ、上下関係を意識せず、個々の推察とそれを立証するデータがあれば、そうした率直な意見交換も許されるTOKのものづくり文化に次第に染まっていく3年間でもありました。
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圧倒された先輩社員の“驚愕の技術力”が
キャリアパスの道標に先輩達の圧倒的な実力に感服したこともありました。その中の一人は、コンタミネーション(異物の混入)の徹底排除を目指して、高度なろ過技術を集約した有害物質を排出しないシステムを作り上げた方です。原材料投入から、数回のフィルタリングを経て純度の高い製品を作る製造ラインのシステムを構築しました。このシステムの一部は、その後、郡山工場や韓国の工場などTOKが誇る最先端の製造現場にも導入されました。当時はまだアナログのろ過しか知らなかった私には、まさに“驚愕”の技術力に思えましたが、「こんなことができるんだ」という驚きの一方で、遥か彼方ではあるけれど、私が進むべきキャリアパスの道標となる頼もしい先輩が身近にいる環境をありがたく感じていました。
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2018年
“世界初”のスーパークリーンルームを完成させて
“先輩”の後ろ姿を捉えるTOKは最先端半導体製造に欠かせないEUV(極紫外線)レジストで世界トップクラスのシェアを獲得していますが、2度目の育児休業からの復帰直後より、相模事業所にて建築中のEUV試作製造ラインの構築プロジェクトに加わりました。製造に関する知識や経験を大いに活かすチャンスをいただくことになり、それから約2年、装置設計図面とにらめっこをし、消防法、(労働)安全衛生法なども勉強しながら、2019年に、当時としては世界初の「スーパークリーンルーム」のろ過製造ラインの完成にこぎつけることができました。コンタミネーションを極限まで抑えることができる最高レベルの精密な製造ラインを構築するという新たな技術力を身に付けたこと、また製造装置メーカーはもとより、建築業者や消防関係など、これまであまり関わりのなかった分野の方々と協働できたことは良い経験にもなり、新たな視野を広げることができました。たった一人で“驚愕のろ過システム”を作り上げた先輩の実力にはまだまだ届きませんが、遠くのほうにいる先輩の後ろ姿くらいは見えるようになった気がしました。
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2021年・現在地
技術に特化した「生産技術開発部」が新設し、
「DSエキスパート教育」で新たな知識を取得当社は「TOK Vision 2030」のなかで、7つの主な戦略を打ち出していますが、その中の一つが「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」であり、現在、私はその戦略における主な取り組みのひとつである「全社スマートファクトリー推進」に関わる業務に従事しています。具体的には、スマートフォンのSAWフィルターなどに使われるドライフィルムにフォトレジストを均一に塗工するラインの自立制御システムの立ち上げを担当しており、センサーなどの製造装置をIoT化させることで、膜厚をAI予測する塗工システムの構築などを行っています。
新しい経営戦略の一環として、製造技術部の組織変更も行われました。郡山工場のMさんのお話にあるように、製品の品質管理については製造拠点との密接な連携が欠かせないことから、基本的に工場の製造技術部門が担当することになり、一方で「全社スマートファクトリー推進」を含む製造技術部の管理から技術に特化した部門として「生産技術開発部」が新設され、私もこちらへの異動となりました。また、TOKでは「全社スマートファクトリー推進」にはデータサイエンス(DS)の知識が欠かせないという認識から、情報システム部のAI推進課が主催する形で未来のデータサイエンティストを養成する「DSエキスパート教育」を開始することになり、私もその中の第一期生として受講しました。一般の大学で行う数年分の講義を約1年間で習得するような内容でしたが、やはり実務経験が役立つ部分も多く、私のように大学時代にC言語をかじった程度でも、R、Python、VBAといった言語のプログラミング技術に関する理解を深めスキルアップを図ることができました。
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皆の幸福度がアップするような
データサイエンスのスキルアップも例えば、データサイエンスを活用すると、いちいちサンプルを作成しなくてもこの材料とこの材料を組み合わせると大体このような品質の材料ができあがるという予測が立てられます。現在、開発者のルーチンワークになっているようなサンプル作成にかかる労力を軽減することや、「検査コスト」を軽減することもできます。また、私は社内業務の効率化に繋がる「自動書類作成プログラム」の開発で会社全体に関わるプロジェクトにも参加し、これまでとは違った分野での貢献ができたことで、自分自身のキャリアパスが広がったような気もしました。DX戦略を進めれば全体的な業務の効率化も一段と進むかと思いますが、従業員の負担を減らし“皆の幸福度”が高まるようなデータサイエンスのスキルアップにも努めていけたらと思っています。
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※掲載されている情報は、取材当時のものです。