• TOKの独自ブランド「SIEVEWELL」

  宇都宮工場での1年間の研修後、希望していた新事業リサーチ課への配属となり相模事業所に勤務しています。この部門は、主に「細胞整列デバイスSIEVEWELL」と「ミリ波吸収体材料」を取り扱っており、私はTOKの独自ブランドであるSIEVEWELLを担当しています。
  この製品は当社の微細加工技術を応用して作製する「細胞捕捉フィルター」を搭載するデバイスで、6～20㎛の大きさの細胞を「シングルセル」(*)としてフィルターの各区画に捕捉することができます。現在は、(血中循環がん細胞)解析への応用を主なターゲットとしており、例えば血中に染み出たがん細胞の数や遺伝子情報を解析することで、治療効果のモニタリングや新薬開発への貢献が期待されます。

  ※細胞の集団ではなく、一つ一つの細胞のこと。

  そんなSIEVEWELLですが、私はその中でも派生品の開発・評価と既存製品の販売促進を担当しています。SIEVEWELLについては、販売開始以来、様々な要望をいただいており、これらの新規なニーズを取込むための新製品の開発・評価に取り組んでいます。
  その中で、私は細胞補捉フィルターの開発などが日常の業務となっています。もう一方の業務である既存製品の販売促進については、営業部門と協力して、大学・研究機関やライフサイエンス関連企業へのプロモーション、展示会への出展などを行います。

  
• 

  製品企画から
  開発、製造、販売促進まで

  フォトレジストのサンプル作成や実装評価ではTOKの微細加工技術に関わることができ、細胞実験では大学の研究室での細胞培養の経験を活かせており、それだけでも満足感があるのですが、製品企画から開発、製造、販売促進まで行うという現在の部門内における製品開発風景は、研究室で一日中実験をしているという開発部門の一般的なイメージとは大きく異なります。
  例えばSIEVEWELLについてはフィルター部分だけでなく、これを搭載するためのプラスチックの筐体も自分たちでデザインします。また、ライフサイエンス関係の実験器具であり、TOKの既存事業とは全く異なることから、品質管理方法や検査方法については生産技術開発部や品質保証部などと連携して、一から構築していきます。

  その他にもWeb広告や製品ホームページ、パンフレットの制作にも関わることや展示会への出展、専門家の先生方から新たな用途に繋がるようなニーズやアイディアを伺うマーケティング活動も行います。このように多岐にわたる業務内容に携わるのは決して楽ではないですが、上司や先輩の垣根なく､皆でアイディアを出し合い、協力し合って新しいものづくりを目指す新事業リサーチ課の環境の中で、皆の助けを借りながら、充実感をもって仕事ができています。

• 

  新たな事業開発に向けて

  今は、開発中の新しいデバイスを製品化することが目標です。現在販売しているSIEVEWELLは、私が新事業リサーチ課に配属された時点で、コンセプトができあがっており、既に製品化されていました。そのときに初めて担当した実験業務を指導してくださった先輩のことが今でも強烈な印象として記憶に残っています。
  それはSIEVEWELLの要求スペックを満たすための材料やプロセスの評価で、実験結果に対する豊富な知識と経験に裏付けされた考察力に感服しました。また、様々なアプローチで次の実験計画を立て、課題を改善していく様子は是非見習うべきと感じ、この経験から、私も効率的な実験ができるよう意識し取り組んでいます。

  まだまだ分からないことが多いので、疑問を感じたらそのままにせず、自分で調べたり、先輩にアドバイスを頂いたりして、新たな知識を習得できるように心がけ、尊敬する先輩方に少しでも追いつくために努力しています。自分が一から関与したデバイスが形になり、多くのユーザーの役に立つ価値の高い製品を開発できればと考えているので、将来的には、また違った新規事業の種を見つけ、その事業化に携われたらと思います。
  そのためには、最新の技術動向に常にアンテナを張り巡らし、実現化できるような斬新な発想が必要です。より多角的な視点から物事を捉えられるようになるべく、さらに経験を積んでいきたいです。

※掲載されている情報は、取材当時のものです。
※文中のSIEVEWELLはTOKの出願中または登録商標です。